更年期の症状といえば頭痛やめまいといった、自律神経系の症状が中心的な主訴となります。

更年期障害の診断基準で「器質的疾患の除外」というのがあり、そのため更年期障害では不定愁訴がメインとなります。

不定愁訴
不定愁訴とは検査をしても異常がないのに、めまいや頭痛、身体のだるさ、ほてりなどの自覚症状があること。
器質的疾患
器質的疾患とは組織そのものが変形や破壊など、異常をきたしてしまうような病気のこと。

こんにちは、鍼灸師のリキヤ(@rikiref)です。

今回は、なぜ不定愁訴が起きるのか、その要因について考えていこうと思います。

この記事のポイント
  • 更年期でホルモンバランスが崩れる仕組み
  • 不定愁訴が起こる社会的要因
  • 不定愁訴が起こる心理的要因

更年期でホルモンバランスが崩れるメカニズム

更年期はホルモンバランスが変化する時期です。

E2(エストラジオール)というエストロゲンの1種であるホルモンは加齢とともに低下し、そのE2(エストラジオール)を出せ、という命令をするFSH(卵胞刺激ホルモン)は反対に上昇します。

女性ホルモンが分泌される仕組み

リキヤ
まずは女性ホルモンが分泌される仕組みを見てみましょう。
女性ホルモンの分泌の流れ
  1. 視床下部からGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を分泌
  2. 下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)を分泌
  3. 卵巣からエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌
 FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)のことを合わせて性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)と言います。

女性ホルモンの分泌

このように、視床下部の「分泌してください」という指令を受けて女性ホルモンは分泌されていきます。

フィードバック機構

ホルモンの分泌量はフィードバック機構という働きにより調節されています。

お灸さん
フィードバック機構とは何ですか?
フィードバック機構
もっとホルモンを分泌した方が良いのか、もう制御すべきかを決めるための身体の働き。

さらに、フィードバック機構にはポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの2種類に分かれます。

  • ポジティブフィードバック・・対象となるホルモンの分泌を促進させる働きのこと。
  • ネガティブフィードバック・・対象となるホルモンの分泌を抑制させる働きのこと。

更年期はフィードバック機構が低下する

普通なら女性ホルモンもフィードバック機構によりホルモンバランスが保たれているのですが、更年期に入ると卵巣機能は低下します。

そうするとエストロゲンが作られる量が減っていきネガティブフィードバックが弱まるため、「エストロゲンを分泌してください」と指令を出すFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の分泌量は多くなります。

閉経するとE2(エストラジオール)は低下し、FSH(卵胞刺激ホルモン)が上昇するのはフィードバック機構があったからなのです。

更年期のホルモンバランスの変化で不定愁訴が起こる理由

女性ホルモンの分泌の流れで1番上にある視床下部が分泌するホルモンはGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)だけではありません。

視床下部が分泌するホルモン
  • GRH(成長ホルモン放出ホルモン)
  • PRH(プロラクチン放出ホルモン)
  • TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)
  • CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)
  • GIH(成長ホルモン抑制ホルモン)
  • PIH(プロラクチン抑制ホルモン)
お灸さん
たくさんありますね・・
リキヤ
そうですね。

また、視床下部は自律神経系の中枢とも言われ、体温調節や本能行動、情動なども調節しています。

更年期により卵巣機能が低下し、エストロゲンの減少などでホルモンバランスが変化すると視床下部にも影響を及ぼします。

そうなると頭痛やほてり、イライラなどの不定愁訴が起こるわけです。

不定愁訴は社会的要因も関係している

ホルモンバランスの変化は皆、平等に訪れます。

リキヤ
時を遡ることはできませんもんね。

しかし、更年期の症状に個人差が大きいのは社会的な要因も関係しているからだとも言われています。

社会的要因
  • 加齢による見た目の変化
  • 病気への不安
  • 今後の経済的な問題
  • 管理職など職場での立場的問題
  • 両親など近しい人との分離体験
  • 子供の就職
  • etc・・・

人によって歩んできた道は違います。

仕事をしている・していない。

結婚している・していない。

子供がいる・いない。

人それぞれ違いますよね。

それでも、ちょうど更年期という時期はホルモンバランスの変化以外にも色々とあって、考える時期なのではないでしょうか。

このような社会的な要因も、不定愁訴に関係しています。

その人の性格にも関係する

考え方がポジティブなのかネガティブなのか。

更年期に起こる不定愁訴はその人の捉え方によっても左右されてきます。

これは更年期に限らずですが、「私はダメだ・・」なんていつもネガティブに考えていたらそれは抑うつ症状も出てしまいますよね。

また、几帳面かそうでないのか、自己主張が強いのかそうでもないのか、などなどその人の性格によって不定愁訴が起こりやすいのかそうでないのか左右されることもあります。

さらにそこに社会的な要因もプラスされるわけです。

お灸さん
なんか大変そうですね・・
リキヤ
大変ですが、だからこそ考えるきっかけになるのではないでしょうか。

様々なことが重なるからこそ考える期間になる

不定愁訴が主訴になる更年期障害は、ホルモン・心理的要因・社会的要因の3つが重なって出来上がります。

女性ホルモン低下

リキヤ
3つも重なれば不定愁訴も起きますよね。

女性は皆、更年期を迎え少なからず不定愁訴を経験するかと思います。

しかし、このような期間があるからこそ自分を振り返る、見つめ直すきっかけになるのではないでしょうか。

おわりに

僕は普段、高齢者の方にも訪問で鍼灸マッサージ治療を行っているのですが、女性の方が元気な印象です。

男性も自分の身体に気を使ってあげている人は増えてきているかと思いますが、それでも女性の方が自分の身体の声に耳を傾けている人が多いのではないでしょうか。

更年期という期間、不定愁訴をきっかけに自分の身体を見つめ直すかどうかでその後の人生が変わるとも言われています。

つらいときは独りで抱え込まずに、婦人科や周囲の人に相談しましょう。