
寒い日に活躍する使い捨てのカイロ。
誰しもが使ったことがあるかと思います。
手を温めるためにポケットに忍ばせてみたり、お腹に貼って温めてみたり色々な場所に使えますよね。
ある程度は温まりますが、どうでしょう、カイロで身体の芯からポカポカした経験ってありますか?
「太い血管を狙って貼る」なんていう情報もありますが、そもそもカイロの熱は身体を芯まで温めることができるのでしょうか。
今回は身体を温める「熱」についてのお話です。
実は熱にも種類があります。
それぞれの熱の性質を知って、上手に活用していきましょう。
目次
熱には乾熱と湿熱の2種類がある
そもそも「熱」とは1種類ではありません。
身体を温める熱には乾熱と湿熱、ざっくり分けて2種類の熱があります。
実は、身体を芯からしっかり温めることができるのは湿熱の方です。
では、それぞれ説明していきます。
乾熱では身体を深部まで温められない
乾熱とは、その名の通り水分を含まない乾燥した熱です。
表面はしっかり温めてくれますが、暖かさが伝わるのは表面の浅いところまで。
じんわり深部まで温めるにはちょっと物足りない感じ。
長時間、乾熱に当たっていたら温まるかもしれませんが効率がよくありませんし、低温やけどのリスクもあります。
しかし、水分を含まないため身体が濡れてしまったりとか後処理をしなくていいのでお手軽に利用することができる熱です。
カイロやハロゲンヒーター、エアコンなんかがこの乾熱です。
エアコンをずっとつけていると乾燥するのは風の影響もありますが、乾熱だったからなんですね。
湿熱は身体を芯から温める
湿熱とは水分を含んだ熱のことです。
乾熱とは違い、熱の伝導生が高いため身体が温まりやすいのが特徴です。
身体を芯からじんわり温めるには湿熱を使った方がポカポカしてきます。
ただ、水分を使っているため身体が濡れた状態のままだとせっかく温まったのに、水分の蒸発とともに体温も下がっていってしまうので注意が必要です。
お風呂や湯たんぽ、パラフィン浴(ろうそくの材料のパラフィンを使った温熱療法)なんかが湿熱です。

カイロでは身体が芯から温まらない理由
さて、乾熱であるカイロは太い血管をしっかりと温めてくれるのでしょうか?
乾熱と湿熱を使い血流量の増加を調べる実験では、湿熱では増加が認められたが乾熱では優位な増加は見られなかったとあります。
血管の性質として気温が上がったりして体温が上がると身体から熱を逃がそうと血管は拡張します。
血管は拡張すると血流量が増加します。
この論文を見ると血流量の増加が見られなかったことから、乾熱では血管を温めるほど深部には熱が伝わらないようです。
つまり、カイロでは全身を芯から温めるような効果は期待できないということになります。

寒いときに温めたいツボ
カイロの熱が身体の深部にある大動脈にまでは伝わらないことはわかりました。
しかし、身体にある太い血管大動脈弓・腹大動脈・総腸骨動脈の辺りにはツボが存在します。
大動脈は身体の深部にありますが、ツボは比較的に身体の浅いところに存在します。
そこを温めるにはカイロの乾熱は利用できると思いますのでご紹介していきます。
大動脈弓
心臓から出てすぐ、ヘアピンカーブしている太い血管のことを大動脈弓と言います。
この大動脈弓がある背中側、肩甲骨の間には風門と身柱というツボがあります。
ここを温めてあげるとリラックスできたり身体が温まったりといった効果が期待できますので貼るのはOK。
咳が出るなど風邪気味のときにも風門や身柱は効果的です。
あと、寒いと背中は丸くなって固まりやすいのでそういった意味でも肩甲骨の間に貼って表面でも温めてあげるのはオススメです。
腹大動脈
刺股ではありません、腹大動脈です。
腹大動脈があるヘソの下あたりに丹田というパワーが集まるツボがあります。
特に疲れてきたり冷えてきたりするとお腹の下の力がなくなりやすいので、丹田をめがけてペタッとカイロを貼ってあげましょう。
僕は学生時代、この丹田のあたりと太衝(足の親指と人差し指の間の腱をなであげていって指が止まるところ)というツボにカイロを当てて仰向けになり瞑想しておりました。
ちょうどこの頃に低音障害型難聴になり、めまいなどもあったので頭に登ってしまった熱を下げるためにも、足やお腹のツボによく鍼やお灸をしていました。
鍼灸をしながら瞑想(呼吸法)をしていると、身体全体が温まってくる感覚があり深いリラックスを感じることができます。
総腸骨動脈
仙骨にはツボもあるし、腰を冷やさないためにという意味でもこの辺りにカイロを貼るのはオススメです。
僕もよく仙骨の辺りにカイロを貼って温めています。
腰痛を持っている方は仙骨の辺りを温めてあげると痛みが緩和されることがあるのでオススメです。
身体を温めるには湿熱を利用しよう
ここまでカイロなどの乾熱について説明してきましたが、じんわりと芯から温めたいときには湿熱を利用しましょう。
また、身体が冷え切って眠れないときには「湯たんぽ」を布団の中に忍ばせて寝るのがオススメです。
おわりに
乾熱では身体の表面しか温めないとは言われていますが、寒い日にカイロを腰やお腹に貼るのは有効だと思います。
やはり貼っていると暖かくなりますし、熱くなったらすぐにはがせます。
東洋医学的にもお腹や腰は冷やさない方がいい場所でもありますし、冬場に限らず夏のクーラーで冷え気味の方は、季節外れではありますがカイロを活用してみてはいかがでしょうか。