
ある日突然、片方の耳が詰まった感じになったらどうしますか?
なんかゴミが入ったのかな?
水が入っているのかな?
もしかして耳垢・・・?
なんにせよ、ちょっと焦りますよね。
僕は鍼灸学校に通っていたとき、突然片方の耳の聞こえが悪くなりました。
その時もいつも通りスピーカーで音楽を流しながら勉強をしていたのですが、なんだか片方だけ聞こえが悪い。
こもっていて低音が聞こえない感じ。
最初はスピーカーの故障かと思いコンセント抜いてみたり、スピーカー本体をふってみたりしました。
しかし、聞こえは悪いまま。

試しに聞こえの悪い方のスピーカーを聞こえの良い側の耳に近づけてみると普通に聞こえる。

耳の中が詰まっている感じがあったので耳のお掃除もしてみましたが治りませんでした。
次の日に病院(耳鼻科)に行って検査をしてもらったところ低音障害型難聴という診断結果が。
今回は僕が低音障害型難聴をどのようにして治療していったのか、体験談をお話します。
目次
処方された低音障害型難聴のお薬
僕の場合はめまいもあったのでビタミン剤だけではなくメニエール病でも使用する「メニレット」というカブト虫のエサみたいなゼリータイプの薬も処方されました。

そう思ったので調べてみたところ、低音障害型難聴でも程度によっては今回処方されたメニレットや副腎皮質ステロイドが処方されるそうです。
回転性のめまいがあるとメニエール病も疑われますが、低音障害型難聴でもフワフワするようなめまいが起こるそうです。
学校で難聴についての勉強はしていましたが、症状は人それぞれ微妙に違いがあって、教科書どおりではないということを身をもって体験しました。
低音障害型難聴と突発性難聴
では、難聴の種類を見ていきましょう。
難聴は大きく分類すると2つに分類できます。
- 「伝音性難聴」
音を拾う器官(鼓膜、外耳道など)に異常が発生して音が届いていない状態。耳垢、中耳炎など - 「感音性難聴」
音も脳に伝えるまでの神経系に異常が発生して音が感じられない状態。突発性難聴、メニエール病など
伝音性というのは外耳から中耳までの間で異常があり、音を感知するセンサーまで届いていない状態です。
もう一つ、感音性というのは音の振動自体はセンサーに届いているけどセンサーから脳に音を伝えるまでの間で異常がある状態です。
伝音性の場合は神経系の異常ではなく耳に何か詰まっているとかが原因なのですが、感音性の場合は神経系の問題です。
ちなみにこの絵だと耳に何か丸っこいものが詰まっているようになっていますが、丸っこいのは鼓膜を表しています。
次は低音型難聴と突発性難聴について、それぞれ見ていきましょう。
低音障害型難聴(ALHL)
低音障害型難聴は内耳の部分がむくんでしまって聞こえにくくなっているといわれています。
ALHLは内耳(耳の奥にある、音を感じるセンサー)にリンパ液が過剰にたまる「内耳のむくみ」が原因と考えられ、多くの場合ストレスや疲労がきっかけになるといわれています。病態はめまいで有名な「メニエール病」と似ています。
引用元:稲垣耳鼻咽喉科医院「急性低音障害型感音難聴」
ストレスや疲労が原因とよくいわれますが、ハッキリとした原因はまだわかっていません。
20代〜30代の女性に多く、難聴の程度は軽いですが放ったらかしで何も治療しないと再発を繰り返し悪化していくとのことです。
低音障害型難聴だと全部の音域が聞こえにくくなるのではなく、一定の低音が聞こえなくなります。
僕も実際に聴力検査(聞こえたらボタンをポチってするやつ)をしたとき、高い音は普通に聞こえました。
でも面白いことに低い音は聞こえていなくて、ボタンを押すことができませんでした。
高い音は聞こえるとはいえ、耳に水がずっと入っている感じです。
それはもう全体的に聞きにくかったですよ。
治療についてはこう書かれています。
治療には内耳の循環を良くするATPなどの血管拡張薬や向神経ビタミン製剤(ビタミンB12)が用いられます。程度により、イソソルビド(メニレット®)という少々飲みにくい薬や、副腎皮質ステロイドを用いることもあります。予後は一般に良好ですが、10~20%の方は再発を繰り返して、メニエール病に移行する可能性があります。
引用元:稲垣耳鼻咽喉科医院「急性低音障害型感音難聴」
やはりメニレットも処方されるようです。
ただ、メニエール病にも移行する可能性があるとは・・治療はしっかり受けたほうが良さそうです。
突発性難聴
これは内耳の血流異常かウイルスなんていわれていますが、こちらもハッキリとした原因はわかっていません。
突発性難聴の原因は分かりませんが、これまでの研究から内耳循環障害とウイルス性内耳炎が最も有力な病因と考えられています。
(中略)
突発性難聴になる前に風邪をひいていた方も多いことから風邪のウイルスによって生じる内耳の炎症も有力ですが、これまでのところ突発性難聴の原因となるウイルスは分かっていません。
引用元:稲垣耳鼻咽喉科医院「突発性難聴」
突然に聞こえにくくなる点に関しては低音障害型難聴と一緒ですが、こちらは低い音だけでなく全音域の聞こえが片方だけ悪くなります。
なので低音障害型難聴よりも聞こえにくくなります。
また、世界がグルグル回って見える回転性のめまいも起こります。
教科書通りだとめまいの有無が低音障害型難聴との鑑別基準となるのですが、そうとは限らないようです(僕がめまいもあったので)
治療についてはこう書かれています。
突発性難聴の発症にはストレスや疲労が関わっていることが多く、急性期の治療として安静が最も重要です。安静のみで自然治癒する可能性もありますが、難聴の程度によっては入院治療が必要になる場合もあります。内耳の循環を良くするATPなどの血管拡張薬や向神経ビタミン製剤(ビタミンB12)、そして副腎皮質ステロイドによる治療が基本です。ステロイド治療を約1週間行い、全体では2~3カ月の治療が必要になります。
引用元:稲垣耳鼻咽喉科医院「突発性難聴」
突発性難聴は発症してから1週間以内に治療を開始するのが重要のようです。
治療をしても3分の1の人は完全に回復しますが3分の1は回復はするけど完全とまでは治らず、残りの3分の1の人は改善しないそうです。

急に音が聞こえなくなったらすぐに病院へ
低音障害型難聴も突発性難聴も、アレッ?と思ったらすぐに病院に行きましょう。
早期に治療をすれば予後は良好なのですが、治療が遅れてしまうと聴力に異常が残る可能性があります。

音が聞こえない治療に鍼灸や漢方という選択はどうなのか
「おかしいな」と思ったらまずは病院に行きましょう。
そこでしっかりと診断してもらい、お薬をもらってください。
難聴に関しては処方されたお薬を服用した方がいいでしょう。
その上で並行して漢方や鍼灸を受けるのは効果的だと思います。
特にめまいに関しては漢方や鍼灸は強いです。
僕は薬の服用だけではなかなか良くならず、鍼灸治療と漢方を飲み始めたら次第に良くなっていきました。
難聴と鍼灸治療
低音障害型難聴も突発性難聴もハッキリとした原因は分かっていないのですが、どうやらストレスは関係がありそうです。
例えば僕の場合だと勉強やらアルバイトやらで考える時間が多く、頭に血が昇りすぎていたのだと思います。
ブワーッと集中して頭に熱が昇っている感じです。
手足は冷えているのに頭は熱い感じ。
この頭に昇ってしまった熱を下ろすように足や手のツボなどを使って治療していきます。
僕自身、鍼灸治療を受けてフワーッと頭から熱が抜けていく感じはありました。
鍼灸にはこのように、コリや痛みを解消する以外にも自律神経を調節する効果もあります。
難聴と漢方
僕の場合、最もよく効いたのは漢方でした。
あれこれ試してみたのですが、一番効果があったのは興奮を鎮める作用がある「柴胡加竜骨牡蛎湯」です。
これを1週間ほど飲み続けていたら、完全ではないですがめまいとお別れすることができました。
自分で調べて漢方を飲み始めるよりも、漢方医に相談して「証立て」といった東洋医学的な診断をしっかり受けてから試しましょう。
僕のようにあれこれ試すのは症状を悪化させたり副作用が出たり、よくない方向に進んでしまう可能性があるのでオススメしません。
おわりに
何度も言いますが、まずは早めに病院で診てもらいましょう。
また、無理に受ける必要はありませんが鍼灸治療も並行して受けていただくのがオススメです。
内耳の浮腫みなど原因がハッキリわかっている部分に関してはお薬を使っていただくのが良いのですが、その他の原因がハッキリしないもの(ストレスなど不定愁訴)に関しては鍼灸は得意としている部分でもあります。