
鍼灸師は身体のつらいところを治したり全身の調整をして体調を良くしたりといった治療以外に、美容の分野でも活躍しています。
「美容鍼」ってやつですね。
ただ、美容鍼は何かを注入したり切ったりだとかはせず、その人の本来持つものを最大限に引き出すお手伝いをするものです。

男性は女性よりも美容について深掘りして調べたり、実際に自分もケアしたりといったことがまだまだ普及していないように感じます。
僕自身、美容鍼を扱っていることから美容についての情報を調べたりしますが、それでもまだまだわからないことがいっぱいあります。
もしも、あなたの大切な彼女や奥さんが「美容医療を受けたい」と相談してきたらなんと答えますか?
今は結構受けている人も多いし、気軽に受けれそうだから「うん、いいんじゃない」なんて答えますか?
僕は美容医療でその人のコンプレックスがなくなったりして、より生きやすくなるなら全然ありだという考えのタイプです。
どちらかと言うと、「うん、いいよー」なんて答えてしまうかも。
でも、その返事、ちょっと待ったです。
プチ整形の「プチ」ってイメージから気軽な返事をしてしまいそうですが、ある本を読んで慎重に考えないといけないなと感じました。
その本がこちら
お金さえ払えば簡単に美容医療を受けられる世界で、どうやらお金儲けを一番に考えている医師が多いようです。
ひどいと、1週間の研修をしただけで執刀するようなクリニックもあるそうな・・・
これはしっかり下準備をして知識をつけて、何度も何度もカウンセリングを受けてから美容医療を受けた方が良さそうです。
著者 「大竹奉一」
医療ジャーナリスト。
1941年大阪生まれ。京都大学文学部美学専攻卒。雑誌編集者などを経て、ジャーナリストとして独立。1990年代より集中的に美容医療の取材をはじめる。美容医療ジャーナリストの第一人者。
プチ整形は「プチ」にあらず
『美容医療の最新事情』では3つのプチ整形が紹介されています。
- ヒアルロン酸注射
- ボトックス注射
- PRP治療
メスを使わないのでプチ整形なんて呼ばれていますが、例えば、ヒアルロン酸注射ならシワに沿って数ミリ刻みでヒアルロン酸を注入していき、シワの大きさによっては300回も分けて注射していくとのこと。
300回ですと。
めちゃくちゃ細かい作業だし、技術力が問われるのでもはや「プチ」ではないですね。
このような細かい作業を、熟練した医師が担当してくれるならいいのですが現状、そうではない医師もいるみたいです。
医師免許をもっているけど、形成外科や美容外科の研修を受けていない、解剖学の知識もない、その研修も受けたこともない、エステティシャンとほとんど変わらない治療をしているのに、「医師」という免許で高額治療費を請求する医師を、私は「エステ医師」と名付けました。
エステ医師。
研修を受けていないってそんなことあるんかいなって感じです。
このエステ医師にかかったせいで、プチ整形でも取り返しのつかない事故が発生しているのが現状のようです。
ヒアルロン酸やボトックス注射は効果の持続がだいたい半年くらいですし、気に入らなければ美容鍼で細胞を活性化させて吸収を早めるなんてことも可能なのですが、このようなプチ整形を受ける場合でもしっかり調べてから受けたほうが良いですね。
プチ整形でもこんな感じなら、美容外科ではどうなってしまうのでしょう・・・
1週間の研修で執刀する医師
『美容医療の最新事情』で紹介されている美容外科、歯科矯正は11個あります。
- 二重まぶた
- 鼻
- 歯並び
- あご
- 豊胸
- 脂肪吸引
- 植毛
- 脱毛
- 消臭
- 美肌
- シワ・たるみ
どれもメスやレーザーなど、「プチ」のように注射をするだけではなくガッツリ「外科」です。
当然しっかり経験を積んだ医師がやるのかと思いきや、そうではなさそうです。
日本では、医師免許さえあれば、どんな科のどんな治療もできます。
実際はしっかりと研修などが各々の病院であるのでしょうが、美容外科ではメスを握ったことのない医師に1週間ほどの研修で執刀させているところがあるみたいなのです。
美容外科や形成外科のきちんとした研修をまったく受けず、メスを握った経験もないのに、健康な人の顔にメスを入れるという診療を平然と行い、それによって、生計を立てている、金を稼いでいる美容外科医です。しかもこんな美容外科医が、「美容外科医」と名乗る医師のほとんどを占めています。
心臓の手術、ガンの手術、命に関わる手術はそれはもうたくさん研修をするのでしょう。
でも、美容外科は命が危うい、身体が不自由だから手術をするのではなく、正常なものをよりプラスにもっていくための手術。
コンプレックスやメンタル面の部分を除いたら本来なら身体にとって不必要な手術。
緊急性を要さないし、人のコンプレックスはお金になります。
そこを粗末に扱い、荒稼ぎしようとしている医師がたくさんいるとのこと。
これがまかり通ってしまう日本の医療システムに驚きましたし、恐ろしいものなんだと知りました。
美容医療の経営形態
- 個人クリニック・・・その名の通り、医師が一人でやっているところ。
- 熟練医グループ医院・・・院長が信頼している医師をスタッフに持つ院。もしくは医師が数人でグループでやっている院
- ついでにクリニック・・・美容外科を「ついでに」やっている院。
- 大手美容外科医院・・・そのまんま。医師がオーナーでない場合もある。
- 大学付属病院・・・治療するだけではなく、教育や研究もしているところ。
この中で「ついでにクリニック」と「大手美容外科医院」は危険とされています。
大手美容外科医院の医師には、億単位の広告料に見合うだけの、その日の売り上げ金額が決められています。
美容医療の業界で、ノルマが設定されていたのです。
こうなると一日に何件も手術をこなさなくてはいけなくなるし、大掛かりで高額な治療を不必要に勧められるということがあるそうです。
お金に重きを置くばかりで、相手にする患者さんを置いてけぼりにしてしまうということが実態としてあるのですね。
プチ整形を受けるときの医師の選び方
『美容医療の最新事情』で書かれている医師の選び方、注意点はこんな感じです。
- 3〜5人の医師にカウンセリングを受ける
- 「ついでにクリニック」にはかからない
- 「大手美容外科医院」はどの医師が施術するのかを確認する
- 「日本形成外科専門医」の資格を持つ医師にかかる
- 「JSAPS」の医師にかかる
- 自分と相性の合う医師にかかる
- 納得するまでカウンセリングを受ける
- カウンセリング料が無料のところは要注意
- 専門カウンセラーがいる医院には行かない
- 医師に遠慮しない
- 誰かに付き添ってもらう
- 海外では受けない海外では受けない
たくさんありますね。
でも、自分の顔を変えるわけです。
慎重すぎるくらいがちょうどいいのかもしれませんね。
『美容医療の最新事情』を読んでみて
まず、医療ジャーナリストである著者の大竹奉一さんの怒りを感じました。
本の中でも紹介されているのですが、大竹奉一さんの元にはひどい医師にかかってしまった方からの相談が寄せられてきています。
その内容が、読んでいて結構心苦しいものがあります。
えー、実際にこんなひどいことあるのか!と驚きました。
あとがきで大竹奉一さんはこう綴っています。
きれいになること、若くなることが目的になってしまっていて、ふっと気が付くと、家族は放ったらかし、友人関係は疎遠になってしまって、きれいになったけど「幸せ」からは遠くなっている・・・そんなことありませんように。幸せは、複雑で面倒で、考えて、努力して、耐えて、時間をかけて、それでようやく得られる、かもしれないものです。
若いときには、あなたの個性をいかす美容治療を。年齢を重ねれば、シワを憎んで暮らすのでなく、「シワがあるのにあんなにきれいだ」と言われるような、美容医療を。そして、絶対に失敗しないように。私の心からの願いです。
自分がよりよく生きるためにもキレイをお金で買うのは全然良いと思います。
そのお金も、結局は努力して貯めたものでしょうしね。
僕自身もずっとキレイでありたいですし。
美容医療はボランティアではないので、お金はもちろんいただかなくてはいけません。
でも『美容医療の最新事情』で書かれていた内容は人のコンプレックスをいいように言いくるめてお金に変えているだけの美容医療業界の黒い部分でした。
僕は美容鍼というツールを通して人をキレイにするお手伝いをさせてもらっています。
少しでも患者さんがより良く生きられるように「コンプレックス」というデリケートな部分を扱うことには変わりありません。
しっかりとカウンセリングをしてお話しを聞いて、効果を出す。
そんな当たり前のことを再確認できた本でした。
また、美容医療にかかるときは値段や口コミだけを見て気軽に受けるだけではなく、『美容医療の最新事情』のような美容医療関連の本を読んだり、どんな医師がやっているのか調べたりしてから受けるようにしましょう。
この本が合いそうな人
- 美容医療を受けたい人
- 美容医療を受けたがっている人が、近くにいる人
- 美容に携わるお仕事をしている人
また、本の最後には信頼できる医師が紹介されています。
黒い部分が主だって書かれていますが、素晴らしい信頼できる医師もたくさん紹介されています。
ご参考にされてみてはいかがでしょうか。
おわりに
美容に関する情報は日々アップデートされ、中には実際のところ効果があるのかわからないものもあります。
ダイエットや健康法もそうです。
今はインターネットで検索すればいくらでも情報が手に入る時代です。
しかし、その数ある情報の中で選択をするのは検索した本人になります。
一つの情報源から手に入れた情報をそのまま鵜呑みにせず、少しその情報について掘り下げて検索してみましょう。