更年期に大きく変化する女性ホルモン。

では、女性ホルモンがどのようにして分泌されるのか、脳との関係はどのようになっているのかご存知ですか?

こんにちは、鍼灸師のリキヤ(@rikiref)です。

今回は脳の構造、更年期とホルモン分泌の関係について調べていこうと思います。

更年期に起こる不定愁訴は心理的要因、社会的要因も関係してきます。

情動によってなぜホルモンバランスが乱れるのか、ホルモン分泌について知っておくと自分の身体と向き合うときに役に立つかと思います。

リキヤ
解剖学・生理学のお話になりますが、ザッと見ておきましょう。
この記事のポイント
  • 脳の構造
  • 間脳のホルモン分泌
  • 加齢による卵巣の変化

脳の構造

あらゆる働きの司令塔を務める人間の脳。

ホルモン分泌だけでなく感情や記憶、運動、本能行動などなどあらゆる活動をつかさどっている超ハイテクコンピューター。

では、脳の構造は一体どうなっているのでしょうか。

脳の構造
  • 大脳
  • 間脳
  • 脳幹
  • 小脳

脳の構造

大きく分けるとこの4つに分類されます。

リキヤ
それぞれの働きを見ていきましょう。

大脳

脳の構造(大脳)

大脳には大脳皮質・大脳辺縁系・大脳基底核という3つの部分に分かれ、さらにそこからいくつかの部分に分かれます。

お灸さん
ややこしいですね。
リキヤ
今回はそこまで詳細には突っ込んでいきません。

まずは大脳皮質から。

大脳皮質

大脳の外側に当たる部分で

  • 前頭葉・・思考や判断、運動、言語機能(発語)などをつかさどる。大脳皮質で1番面積が広い。
  • 頭頂葉・・温度や痛み、味覚などの知覚、動きや空間認識をつかさどる。
  • 側頭葉・・聴覚や嗅覚、言語機能(言語の理解)などをつかさどる。
  • 後頭葉・・視覚をつかさどる。

さらにこの4つの領域に分類されます。

大脳皮質

このように大脳皮質では機能局在といって、それぞれの機能がつかさどっている部分がまとまってできています。

お灸さん
大脳皮質だけでもたくさんの働きがあるんですね。

次は、大脳辺縁系。

大脳辺縁系
古皮質(海馬、帯状回、嗅脳など)と扁桃体などから構成されていて、本能行動や情動行動、記憶などをつかさどっています。
リキヤ
生物としての本能をつかさどっている、というイメージですかね。

最後に、大脳基底核です。

大脳基底核
大脳の深部にあるのが大脳基底核です。運動の調節をつかさどっていて、尾状核、被殻、淡蒼球から構成されています。
リキヤ
この部分が障害されると自分の意思とは関係なく身体が動いてしまったりするパーキンソン症候群が出現します。

人間の脳は皮質の構造の中でも新しい部分に当たる大脳新皮質と呼ばれる部分が存在します。

この部分が発達しているからこそ、高度な考えを持つことができるわけです。

間脳

脳の構造(間脳)

間脳は視床と視床下部に分類され、さらに視床下部に接するところには脳下垂体と呼ばれる部分があります。

リキヤ
心理的要因、社会的要因を抜きにすると間脳がホルモン分泌に関する司令塔の部分と言えますね。
視床
視床は嗅覚以外の全ての感覚情報を処理して大脳に伝える働きをしています。

視床が障害されると感覚や運動の情報をうまく大脳に伝えることができず、感覚が低下したり運動失調が起こります。

視床下部
視床下部は内分泌系を調節する司令塔的部分です。また、自律神経系の統合中枢でもあり、体温調節や本能行動、情動行動の中枢でもあります。

体内環境や外の環境の変化に対応できるのは、視床下部が変化に対応できるように身体を調節しているからなんですね。

また、自律神経系の統合中枢でもあることから、交感神経・副交感神経とも深く関係している部分です。

リキヤ
更年期において、視床下部はどうやら重要な部分となりそうですね。
脳下垂体
視床下部からの命令で体内のホルモンの量や分泌するタイミングなどを調節する、中間管理職的な役割を担っている部分です。脳下垂体はさらに、前葉と後葉に分かれます。

脳下垂体は様々なホルモンを作っていて、メラニンの合成を促進する

脳幹

脳の構造(脳幹)

脳幹は生命維持に関係する部分で、中脳・橋(きょう)・延髄の3つから構成されています。

中脳
中脳は反射中枢(姿勢、対光、目の運動)のほか、動眼神経核や滑車神経核、黒質などがあります。
 対光反射とは、瞳孔が大きくなったり小さくなったりして目に入る光の量を調節する反射のことです。

動眼神経が障害を受けると複視(障害がある側の目が外を向く)やまぶたが垂れ下がるなどの動眼神経麻痺が出現したり、黒質の細胞に異常が生じるとパーキンソン病が生じたりします。

橋(きょう)
橋は排尿中枢や三叉神経核、外転神経核、顔面神経核などがあります。

橋が障害を受けると顔面神経麻痺などが起こります。

延髄
延髄は呼吸・循環・嘔吐中枢や迷走・副・舌下神経核、内耳・迷走・舌咽神経の投射核などがあります。

延髄が障害を受けると運動失調などが出現します。

リキヤ
延髄蹴りなんて絶対してはいけませんね。

このように脳幹にはたくさんの脳神経(12番まであって、身体にとって重要な神経)が集まっていますし、生命に関わる中枢もつかさどっている部分です。

小脳

脳の構造(小脳)

小脳は大脳の後ろの下の方で橋と延髄の背面に位置し、3つの小脳脚と呼ばれる部分から中脳・橋・延髄にそれぞれ連絡しています。

また、小脳は平衡感覚と意識的な運動の調節に重要な役割を担う部分です。

リキヤ
姿勢を保持するにも細かい動きをするのにも小脳は関係していて、まさに身体の運動をつかさどっている部分ですね。

脳の構造のまとめ

では、ここまで簡単にまとめてみましょう。

まとめ
  • 大脳・・記憶や知覚、言語、運動などの人間的な部分をつかさどる
  • 間脳・・自律神経やホルモン分泌、身体の調節などをつかさどる
  • 脳幹・・脳神経が多く集まり、生命活動をつかさどる
  • 小脳・・運動の調節や姿勢のバランスをつかさどる

生命を維持するのも知覚や運動、身体の調節をするのも脳ですし、精神的な部分も脳が感じ取っています。

脳の構造がなんとなく、お分かりいただけたでしょうか?

間脳のホルモン分泌

間脳には視床・視床下部・脳下垂体という部分に分かれています。

そして、視床下部は免疫系・内分泌系・自律神経系・体性神経系とも深く関わりのある部分です。

 体性神経とは運動や感覚などをつかさどる神経です。

また、視床下部は精神状態や環境の変化、体内環境の変化を受けとってそれに対応するように調節をしています。

このことから、更年期に起こる不定愁訴に深く関わっている部分が視床下部ということです。

では、様々な働きをしている視床下部は内分泌系(ホルモン)にはどのようなことをしているのでしょうか。

視床下部のホルモン分泌

視床下部は脳下垂体に対して「ホルモンを分泌してください」とか「ホルモンの分泌をストップしてください」といった指令をするホルモンを分泌します。

リキヤ
直接作用するホルモンというよりは、それぞれのホルモンの量を調節するホルモンを分泌するということですね。

どのようなホルモンを分泌するかというと

視床下部が分泌するホルモン
  • GRH(成長ホルモン放出ホルモン)
  • PRH(プロラクチン放出ホルモン)
  • TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)
  • CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)
  • GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)
  • GIH(成長ホルモン抑制ホルモン)
  • PIH(プロラクチン抑制ホルモン)

このようなホルモンを分泌して、それぞれのホルモンの分泌を調節しています。

この中でGnRHというホルモンが女性ホルモンの分泌を調節するホルモンになります。

脳下垂体のホルモン分泌

視床下部からの指令を受けて、脳下垂体の前葉・中葉・後葉から様々なホルモンを分泌します。

脳下垂体前葉
  • GH(成長ホルモン)・・成長を促したりするホルモン
  • PRH(プロラクチン)・・女性の乳汁を調節するホルモン
  • TSH(甲状腺刺激ホルモン)・・甲状腺ホルモンの分泌を促すホルモン
  • ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)・・副腎皮質ホルモンの分泌を促すホルモン
  • FSH(卵胞刺激ホルモン)・・性ホルモンの調節を行うホルモン
  • LH(黄体形成ホルモン)・・性ホルモンの調節を行うホルモン
 FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)を合わせてゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)といいます。
脳下垂体中葉
  • MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)・・メラニンの形成を促すホルモン
脳下垂体後葉
  • バゾプレッシン・・抗利尿作用があり腎臓で尿の濃縮を行うホルモン
  • オキシトシン・・出産時の子宮収縮を行うホルモン。また、乳汁排出も促す(乳汁反射)

この中で更年期と関係が深いのが脳下垂体前葉から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)です。

視床下部

加齢による卵巣の変化

歳を重ねると身体のあらゆる機能が変化していくのと同じように、加齢によって卵巣機能も変化していきます。

第1段階 31歳から卵子の質が低下する
第2段階 37歳頃から卵胞数がグッと低下し、妊娠しにくくなる
第3段階 41歳以降、妊娠率がグッと低下する
第4段階 45歳〜50代で閉経する

このように、30歳あたりから卵巣機能は低下していきます。

リキヤ
30代で重量が約15gなのが50代では5gまで減少するそうです。

ホルモンの変化

卵巣機能の低下に伴い、ホルモンバランスも変化していきます。

脳下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が分泌され、その指令ホルモンを受けた卵巣はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンを分泌するのですが、卵巣低下によりエストロゲンとプロゲステロンは低下していきます。

そうなると脳下垂体は「あれ、ホルモン量が少ないな、もっと分泌してください」と指令を出すためにFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の分泌量を増やすように。

このような仕組みで更年期障害の診断基準でもあるFSH(卵胞刺激ホルモン)の上昇とE2(エストラジオール)の減少ができあがるわけです。

卵巣機能が低下すると

更年期は精神状態とも関係する

脳は1つ1つの部分が個別に働いているのではなく複合して複雑なネットワークを作り、環境の変化に対応するように働いています。

加齢で女性ホルモンの変化によって不定愁訴が出現するのもありますが、環境や心理的状態によっても脳は対応しようとするために様々な症状が出現するのです。

更年期に入り、ホルモン補充療法や漢方などの治療でケアすることは大切です。

しかしそれだけではなく、更年期を1つのきっかけに自分の身体や心に耳を傾けて、日常生活などを振り返ってみてることも大切なのではないでしょうか。

リキヤ
頑張りすぎな人はちょっとブレーキをかけてみる、とかいかがでしょう。

おわりに

解剖学と生理学のお話で、ちょっと難しかったですね。

しかし、自分の身体の仕組みを知りどのように変化していくのかを知ることは、歳を重ねていくにあたって少しだけ、今後どのように過ごしていくのかのヒントになるかもしれません。

詳細に覚える必要はありませんが、仕組みを知ることは自分の身体と向き合う1つのきっかけになるかもしれませんよ。